サウジアラビアがイランとの外交関係の正常化に合意!何と仲介したのは中国!これはアメリカ外交の大失態なの?

Question 6

Question6
 過去10年間の中国とイランの関係について教えていただけますか。

Answer

 私は、イランと中国のイデオロギーが似ているとは思いません。また、それぞれのイデオロギーに親和性があるとも思いません。しかし、両国は、アメリカが自国の敵であるという点では間違いなく意見が一致しています。また、両国ともに、戦略的にも経済的にも手を携えることのできる国を求めています。そして、それは強い力を持つ国でなければ意味がありません。現在、イランが中国やロシアと接触している動機は、正にそれです。イランが中国と接触している理由は、特に経済面の理由によるものです。中国はイランにとって最大の顧客です。しかし、イランは、中国の中東での態度に失望しているようです。理由は、中国がここでは中立の立場を貫いており、イランに肩入れしてくれないからです。それは仕方のないことです。なぜなら、イランは中国にたくさんの原油を売っていますが、サウジアラビアが売っている量はそれをはるかに凌ぐからです。中国は、常に湾岸地域に関与する際には、経済的な側面を最優先しています。政治やイデオロギーにはそれほど興味はありません。中国は、全ての産油国から原油を買える状態が望ましいと考えていて、そうした観点から、湾岸地域と中東が平和であり、そこから諍いが取り除かれることを望んでいます。
 質問した内容から離れてしまうかもしれないと思うのですが、認識して欲しいことがあります。今回の中国の仲介によるサウジアラビアとイランの国交正常化について、アメリカではさまざまな反応が見られました。今回のことを、アメリカの外交上の敗北であり、中国の勝利であると捉えている者も少なくないようです。どうも、一方が敗者で、他方が勝者であると捉えているようなのですが、はたしてそうなのでしょうか?私が思うに、湾岸地域に関して言えば、アメリカの利益と中国の利益はかなり似ていると思います。両国ともにその地域からの原油にかなり依存していて、その地域の平和と安定を望んでいます。そうすれば、原油市場も安定します。