本日翻訳し紹介するのは The New Yorker の Web 版に昨年 4 月 29 日に掲載された Joshua Rothman のコラムで、タイトルは” Why Even Try if You Have A.I.? “(AI があるのになぜ試す必要があるのか?)となっていました。
スニペットは” Now that machines can think for us, we have to choose whether to be the passengers or pilots of our lives.”( AI が私たちに代わって考えることができるようになった今、私たちは人生の乗客になるかパイロットになるかを選択しなければならない)となっています。Joshua Rothman はスタッフライターで Open Questions というコーナーを担当しています。Open Questions はゲームや社会現象やミームなどを取り上げていて面白いコーナーです。
さて、今回翻訳したコラムの主題は次の通りです。
AI に聞けば一瞬で答えが出る、そんな時代だからこそ、私たちは一つの根本的な問いに直面している。それは「AIが代わりに考えてくれるなら、なぜ自分で試行錯誤する必要があるのか?」という問いである 。便利なツールに頼り、効率的にタスクをこなす。それは一見、賢明な選択に思える。しかし、自分で考え、失敗し、何度もやり直すという「精神的な努力」を放棄したとき、私たちは人生の主導権を AI に譲り渡し、単なる「乗客」になってしまう 。
ジョシュア・ロートマンのコラムを翻訳して思ったのは、AI 時代において「あえて自ら試行錯誤すること」が、私たちのアイデンティティや成長にどう関わっているのかを考えるべきであるということである。効率の先にある、本当の「生きる実感」について探る必要があると思いました。私の意見はこのくらいにします。
長いコラムですので、要約を次に記し、その後に和訳全文を掲載します。
要約
1. 試行錯誤のループがもたらす「螺旋状の成長」
- 反復の価値: おもちゃの坂道作りや料理のように、同じことを繰り返しながら微調整を加えるプロセスが、専門性や直感を磨き上げる 。+1
- 円から螺旋へ: 単なるルーチン(円)に変化を加えることで、自己を高める「螺旋状の上昇」へと変わる 。
2. 「思考の不快感」とAIの誘惑
- 考えることは苦痛: 多くの研究で、人間にとって「精神的努力」は本質的に嫌悪すべき負担であることが示されている 。
- AIの圧倒的効率: AIは認知的な疲れを感じることなく、何度でも書き直しや試行を繰り返すことができるため、人間は「自分で考える不快感」から逃れたくなる 。
3. 知的怠惰が招く「精神の衰退」
- 肉体の衰えとの類似性: どこへ行くにも車を使い、歩くことをやめれば体力が低下するように、思考をAIに任せすぎると精神的な活力や困難を乗り越える意欲が失われる 。
- 「精神のジム」という考え方: これからの時代、自分で考えることは、意識的に心と能力を鍛えるための「レクリエーション的な自己啓発」になる必要がある 。
4. 「料理人」の例え:スキルと人格の形成
- 二人の料理人の違い: AIが生成したレシピをただ実行する人と、長年の失敗から直感を養った人では、出来上がる料理が同じでも「料理人としての人生」を歩んでいるかどうかが異なる 。
- アイデンティティの危機: 効率だけを求めてAIに従う生活を続ければ、内面化された能力を持たない「ただ形だけをこなす人」になってしまう恐れがある 。
5. 結論:人生の「パイロット」であり続けるために
- 意識的な選択: スマホを置いて外に出るように、あえてAIに頼らず自分で考え、退屈や苦労を引き受けることが、人間の脳の活動分野を守り、衰退を防ぐ鍵となる 。
- パイロットか乗客か: AIを便利な機関車として利用しつつも、自分の人生という機体の操縦桿(パイロットの座)は、決して手放してはならない 。
以上、要約終わり
では、以下に和訳全文を掲載します。詳細は和訳全文をご覧ください。