習近平はどうやってゼロコロナ政策見直しを決めたのか?熟考したの?いや、実は単なる思い付きで決めたよう・・・

3.ゼロコロナ政策の見直しによって中国国民の不満は解消するのか?

Q.ゼロコロナ政策が緩和されるとなると、どのようになると思いますか?自由が制限されていたことに対する国民の不満は解消するかもしれませんが、経済的な問題はこれで解決するものなのでしょうか?

A.中国共産党にとって、経済は最大の関心事です。若者の雇用不安、膨大な集団となった中産階級の不満、都市部の富裕層の不満、これらをすべて習近平政権は解消したいと思っているでしょう。アメリカとの地政学的な競争と中国国内の社会的安定に、誰もがご存じかもしれませんが、習近平をはじめとする中国共産党の指導者層は深く関心を寄せています。

 経済的視点で見ると中国の成長エンジンは、投資、消費、輸出の3つです。輸出は、アメリカの中国製品に対する需要が弱まっているものの引き続き問題無いようです。ここ2年、輸出が中国経済の成長を下支えしてきました。世界を見渡すと中国以外の国も新型コロナで何らかの制約があったあったわけですが、中国製品の中でも特に新型コロナ関連製品への需要が旺盛だったことが救いとなりました。特にマスクや注射器等の需要が増大していました。しかし、投資はかなり減少しています。というのは、不動産セクターに対する融資規制が為されたことにより、不動産投資が大幅に減少したからです。同時に、インフラ投資も減ってしまいました。というのはインフラ投資の資金は各地方政府が不動産を売却して賄っていたからです。今では全く不動産が売れなくなっています。

 そうした状況に加えて、方々でロックダウンが引っ切り無しに行われていたので、小売売上や消費は大きく落ち込んでいました。また、サービス業も大きく落ち込んでいました。サービス業は雇用者数が多いセクターですので影響は甚大です。ロックダウンが何度も繰り返されたので、飲食業は壊滅的な状況です。それによって失業者も増えています。中国の都市部では、若者や大卒者の大半はハイテク分野で職を得られていません。彼らは役所関係に就職するか、各種サービス業に就くかのいずれかです。ロックダウンのためにサービス業全体が大きな打撃を受けています。そのせいで失業する若者が増えており、今後もさらに増えると予想されるため、多くの大学のキャンパスで抗議デモが起きたのです。中国で抗議デモがこれほどの規模で頻発したことは、1989年以降初めてのことです。