経済制裁って効果あるの?ロシアに課した制裁措置でプーチンは苦しんでるか?いや、西側の方が苦しんでるだろ!

 本日翻訳して紹介するのはthe New Yorker の October 31, 2022 Issue に掲載の記事で、タイトルは”Will Sanctions Against Russia End the War in Ukraine?“(ロシアに対する制裁で、ウクライナ戦争を終わらせることができるのか?)です。

 Sheelah Kolhatkarによる記事です。彼女はスタッフライターで非常に多岐にわたってたくさんの記事を書いています。スニペットは、”D.C. bureaucrats have worked stealthily with allies to open a financial front against Putin.”(ワシントンの官僚たちは同盟国と密かに協力して、プーチンに対する金融制裁を発動しています。)となっていました。

 さて、この記事の主旨は、西側諸国がロシアに課している制裁措置は効果があるものの、すぐに戦争を終結させるものではないし、制裁を課す側にも痛みが伴うというものでした。詳細は、和訳全文をご覧いただいたいと思うのですが、私が再認識したのは、制裁は思っていたほど効果がないということです。

 たしかに、ロシアの国民は痛みを感じているかもしれません。しかし、別にプーチンはそれほど痛みを感じていません。国から搾取した財産が多少は目減りしたでしょうが、莫大な財産がちょっと減ったくらいでは痛くも痒くもありません。また、自分が政権の座から引きずり降ろされる心配は皆無です。プーチンはロシアで権力を握ってから着々と国民が政府に逆らえないように強固な諜報機関を整備してきましたし、反政府メディアはほとんど駆逐しました。ですから、国民は表立ってプーチン体制を異を唱えることができませんし、大規模なデモを実施することさえもできません。

 この記事の筆者であるKolhatkarの結論は、制裁は現時点では十分には効いていないかもしれないが、プーチンに効くまで徐々に強度を上げ続けるしかないということのようです。もちろん、それによって制裁を課す西側諸国にも痛みが伴います。しかし、痛みが伴うからといって、プーチンを野放しにすることでもたらされる痛みの方が大きいわけだから、我慢するしかないのかもしれません。 

 しかし、どうなんですかね?遠いウクライナの戦争のために、何で遠く離れた我々が物価高で苦しまなきゃならないんでしょうかね?と考えている人も少なくないのかもしれません。記事中に、ピュー研究所(Pew Research Center)が行ったアンケートの結果が出てくるのですが、ニューヨークのほとんどの人は、ウクライナがロシアの支配下になることを全く懸念していませんでした。まあ、こういう無関心が拡がるとプーチンのような独裁者を利することになってしまうのかもしれません。しかし、市井の人々の多くは、遠い遠いウクライナの為に苦労するくらいなら、物価高を何とかして欲しいと切実に思っているのかもしれません。

 では、以下に和訳全文を掲載します。詳細はこちらをご覧ください。