発癌メカニズムの謎 スリーパー・セルって知ってる?発癌物質については、未解明な点が多い!

 本日翻訳し紹介するのは The New Yorker の December 18, 2023, issue に掲載の記事で、タイトルは、”All the Carcinogens We Cannot See“(発癌物質については未解明な点が多い)です。Siddhartha Mukherjee による記事です。

 Siddhartha Mukherjee は現役の医師のです。医療関連の記事をしばしば寄稿しています。スニペットは、”We routinely test for chemicals that cause mutations. What about the dark matter of carcinogens—substances that don’t create cancer cells but rouse them from their slumber?”(突然変異を引き起こす化学物質は日夜続けられている。しかし、発癌物質のダークマター、つまり癌細胞を生み出さないが癌細胞を眠りから目覚めさせる物質については未だ解明されていない点が多い?)となっていました。

 本日翻訳した記事の内容は癌研究に関するものでした。結論は、発癌物質については、未解明の点が多いということでした。どういうことかと言うと、そもそも発癌メカニズムは完全には解明できていないし、発癌物質については未確認のものが無数にあるようです。標準的な発癌メカニズムがあるわけですが、それでは説明できない事例が多いとのこと。

 さて、私がこの記事を読んで驚いたのは、癌の研究では不明な点が思っているより非常に多いということです。例えば、喫煙は肺癌を助長することが知られていますが、タバコで肺癌になった者の癌標本の 1 割には、タバコに含まれる化学物質の影響による変異が見られないのです。じゃあ、タバコが原因ではいのではないか?未解明の謎が多いようです・・・。ということで、発癌メカニズムが十分に解明されておらず、発癌物質についても既知のもの以外のものも無数にあるようですので、癌になるのは防ぎようが無いし、必ずしも治癒できるわけでもないのです。完全に癌になることを避けることは出来ませんが、既知のリスクは避けたいものです(発癌メカニズムが解明されていないのだから、既知のリスクとされているものに必ずしもリスクがあるわけではない気もするが・・・)。

 この記事を翻訳してみて思ったことがあります。医療関連の記事で堅い内容なのですが、医学雑誌の記事ではないからなのか、無駄な比喩や暗喩が多いです。日本人の私からすると、それ必要か?と思わなくもありません。この記事では、発癌物質を特定することを探偵の犯人探しに例えています。それで、コナン・ドイルの推理小説の「パスカヴィル家の犬」と「斑の紐」の内容が引用されています。私は、両方とも読んだことがあるし、テレビで映画を見たので理解できたのですが、理解できない人の方が多いのではないかと思います。まあ、今はサクッとググれば、それくらいはすぐ分かるので問題ないのですが。他の記事を訳している際にも、有名な曲や小説や映画が例えで出てくることがしばしばあります。逆に話が分かりにくくなることも少なくないし、そんな比喩調べなきゃ誰もわからんだろっとツッコミを入れたくなることもあります。ひょっとすると、アメリカで英語の文章を書く際には、こうした無駄な比喩を入れ込むのがマナーなのかもしれませんね。あるいは、流行っているとか?このあたりのことを知っておられる方がいましたら、お教えいただけますと助かります。

 では、以下に和訳全文を掲載します。詳細は和訳全文をご覧ください。