本日翻訳し紹介するのは The New Yorker の November 4, 2024, issue に掲載の Nicholas Lemann による記事で、タイトルは”Bidenomics Is Starting to Transform America. Why Has No One Noticed?”です。
タイトルを訳すと「バイデノミクスがアメリカを変え始めた。なぜ誰も気づかないのか?」くらいの意味でしょうか。 Nicholas Lemann はスタッフライターで政治、経済の記事から書評なども書いています。スニペットは、” The full effects of the President’s economic policies won’t be felt for years. That might be too late for Kamala Harris and other Democrats.”(バイデン大統領の経済政策の完全な効果を実感できるのは何年も先である。カマラ・ハリスや他の民主党員にとっては手遅れである。)となっています。
さて、この記事は大統領選投票日のちょっと前に記されたものです。ですが、ある程度はトランプ勝利を織り込んでいます。バイデン大統領の経済施策の成果は非常に大きかったと評価していますが、有権者がほとんどそのことを認識していないことを嘆いています。そのことをどう評価するかは、人によって違うのかなと思います。評価されなくても為すべきことをやりきったとして評価する人もいるでしょう。でも、大統領って有権者に選ばれたわけですから、その有権者が評価しないという事実は重いもので、そもそも大統領としてどうなの?と批判されても仕方ないでしょう。
結論として私が思うのは、バイデンはアメリカ経済に多大な功績を残した(5段階評価で5?)ものの、トランプとの選挙に勝つという課題では赤点をとってしまったということです。どうしてお前は、後者の課題を優先しなかったんだと思います。何よりもトランプ阻止を優先すべきなのに、なんで他のことをせっせとやっとるんだ!SEC のトップに法曹関係者を就かして規制色を強めたけど、それって一番票を失う行為です。そんなことをすれば、金融業界が応援してくれる理由がありません。暗号資産に否定的だったのも致命的なミスです。民主党だから、左派的な姿勢を取らざるを得なかったのかもしれないが、票に結びつかないような行動は厳に慎むべきでした。どう見てもトランプの勝利は、バイデンのやらかしによるものだと思います。
おそらく、バイデンがものごとの優先順位を正しく付けられなかったは、老化が原因だと思います。いや、側近のスタッフは何してたんだと思わなくもないですが、ボケてしまって言うことを聞かなくなっていたんだと推測します。私も還暦を超えた年寄りですので、バイデン氏を他山の石としたいと思います。一生懸命やれば良いというわけではないのです(バイデンは確かに必死のパッチで取り組んでいたが)。年老いたら意固地にならず、まわりの状況をよく見極めて何を最優先すべきかを冷静に判断して行動したいものです。やったらダメなことも認識しないといけません。それができなくなることを老化というのだと思います。それができなければただの厄介者です。何もしないか、おらん方がましです。
まあ、バイデンを批判してしまいましたが、彼はマスタープランを考えて、それによって統制の取れた形で多くの経済施策を矢継ぎ早にかつてない規模で実施しました。経済対策に投じた資金は日本と比べると桁違いです。この記事を読んでいただけたら分かるはずです(バイデノミクスと比べたら、岸田ノミクスは何もしていないも同然です)。バイデンは選挙には勝てなかったが、数年後、もしくは数十年後には功績が評価されるようになるかもしれません。泉重千代さんくらい長生きできれば、存命中に自身の功績が認められる日がくるかもしれません。残りの僅かな任期を有意義に務めてほしいものです。
では、以下に和訳全文を掲載します。詳細は和訳全文をご覧ください。