本日翻訳し紹介するのは、The New Yorker のFebruary 7, 2022 Issueに掲載の記事で、タイトルは”Can Germany Show Us How to Leave Coal Behind?”(ドイツは脱石炭の成功事例を他国に示すことができるか?)です。ドイツの気象変動対策に関する記事です。
2月7日号の誌面に載っていた記事です。Alec MacGillisによる寄稿記事です。氏の記事は様々な雑誌で目にします。特に気候問題に詳しいわけではなく、様々な分野の記事を書いています。この記事のサブタイトルは、”The country embarked on an ambitious plan to transition to clean energy, aiming to lead the fight against climate change. It has not been easy.”(ドイツは、世界に先駆けて気候変動を防ぐ取り組みに着手し、クリーンエネルギーに完全に移行するという野心的な計画に着手しました。しかし、それは容易なことではありません。)です。この記事はProPublicaにも投稿されているようです。いわゆるシンジケート配信です。記事は全く同じですが、差し込まれている写真の掲載順が違うような気がします。
この記事を読んで私が意外に思ったことがあります。それは、ドイツのエネルギー転換政策があまり上手くいっていないということです。ドイツと聞くと、風力発電用の風車が至るところにあるイメージで、てっきり気候変動対策の優等生だと思っていました。それが、かなり苦戦しているようです・・・
でも、ドイツが苦しんでいるのは、高い志を掲げていることが理由です。また、世界に先駆けて取り組んでいるわけで、実際にやってみて初めて様々な問題があることが分かったという段階にあるのだと思います。
ドイツは、電気のエネルギー源を全て温室効果ガスを排出しないものに切り替えると決める前に、全原子力発電所の廃止を決定していました(22年末に全て停止する予定)。 他の国は、原子力発電は温室効果ガスを排出しないとして温存する予定です。ですので、ドイツだけ、途轍もなくクリアするハードルが高いのです。で、どうやら、38年までに温室効果ガス排出量をゼロにするという目標は達成できそうにないようです。苦肉の策として、自然エネルギーだけでは賄えず不足する電力を隣国フランスやポーランドから購入することも検討しているようです。でも、それをしてしまうと、フランスから原子力発電による電力を買い、ポーランドから石炭火力発電による電力を買うわけで、ドイツが原子力発電に一切頼らずに温室効果ガス排出量をゼロにしたことにはならなくなってしまいます。
あと、この記事を読んで私が驚いたのは、ドイツが自然エネルギーだけで全電力を賄うには風力発電の風車を現在の4倍にする必要があることで、そうすると国土の2%が風車に占有されてしまうということです。そこから逆算すると、ドイツでは既に国土の0.5%が風車に占有されているということになります。結構な数の風車が稼働しているんだなと感心しました。また、4倍にすれば達成できるということだったら、頑張ってやったら良いのではないかと思ったりします。でも、既に好立地にはほぼ設置済みで、ここから増やしていくのは容易ではないのかもしれないと推測します。
話がそれてしまいましたが、詳細は和訳全文をお読み下さい。
では、以下に和訳全文を掲載します。