本日翻訳し紹介するのはthe New Yorker のOctober 11, 2021 Issueに掲載の記事で、タイトルは”Can Nuclear Fusion Put the Brakes on Climate Change?”(核融合は気候変動にブレーキをかけることができるか?)で、核融合についてです。
Rivka Galchenによる記事でした。サブタイトルは、”Amid an escalating crisis, the power source offers a dream—or a pipe dream—of limitless clean energy.”(危機が深刻化する中、核融合発電は実用化されて無限のクリーンエネルギーを供給できるのか?それともはかない夢でしかないのか?)です。
内容は、核融合発電の実用化についてでした。地球温暖化が進行しています。クリーンエネルギーというと、現在では、太陽光発電、風力発電などが期待されています。しかし、かつては核融合発電も非常に期待されていたのです。1970年代のオイルショックの際には、将来石油に代わるエネルギーの主役として期待されていて、米国では核融合の研究に巨額が助成されていました。しかし、現在では期待も萎んでしまって、助成金もほとんど無くなってしまったようです。
さて、核融合発電を正しく理解している人って居るでしょうか?大学で物理を専攻していたとかでない限り理解していないと思います。私も理解していません。この記事を読んで知ったのは、理論的には原子力発電より非常に効率が良いのです。仕組み的には太陽が熱エネルギーを放出しているのと同じで、何せ、燃料は水素(重水素と三重水素)だけで地球上に無尽蔵に存在しています。原子力発電に比べれば廃棄物は少なく、その廃棄物が放射能を放出し続ける期間も短いのです。原子力発電はチェルノブイリで起きたような事故が起きると大惨事になりますが、核融合発電では蠟燭の火を口で吹き消す要領で稼働を止めることが出来るので、大事故は発生しないとされています(理論的には)。これが実用化されたら、地球温暖化の問題も一発で解決すると思います。
では、実用化の研究はどのくらい進んでいるのでしょうか?基本的な理論は1970年代に固まっていて、それは正しかったので、全く変わっていません。しかし、実用化の壁となっているのは、超高温になるプラズマをどのように閉じ込めるかという技術的な部分です。現時点ではなかなか解決できないようで、そこで足踏みが続いています。もうちょっとなのだが・・・という状態がずっと続いているようです。まだ50年は実用化はされないような雰囲気です。しかし、テクノロジーの進化は日々続いていますから、ある時点で永遠に不可能と思われたことが10年後には容易になっているなんてことは、良くあることです。まあ、私が生きている内に実用化されて欲しいなと思います。
では、詳細は和訳をご覧ください。以下に和訳全文を掲載します。