7.オオヒキガエルを実際に見てみた
私はオーストラリアに滞在している間に、研究室から出て雄大な自然に触れてみたいと思いました。野生のフクロネコを見てみたいと思い、インターネットでその写真を見ましたが、とてもかわいく見えました。ちょうどアナグマを一回りほど小さくしたような感じです。しかし、フクロネコをじかに見るのは、諦めました。というのは、それは素人では難しく、見れたとしてもとても時間がかかると皆に言われたからです。その代わりに、フクロネコを殺しているオオヒキガエルを見ることにしました。それなら、簡単に見つけることが出来ます。それで、ある晩、私はリン・シュワルツコフという生物学者と一緒にオオヒキガエル狩りに出かけました。
シュワルツコフはカナダ出身です。「Toadinator」というオオヒキガエルの捕獲機を仲間と開発しました。私は、まず、ジェームズクック大学の彼女の研究室に立ち寄って、その捕獲機を見せてもらいました。オーブントースターほどの形と大きさでした。前面にはフラップが付いています。また、スピーカーがついていて、シュワルツコフがスイッチを入れると、研究室内にオオヒキガエルの大きな鳴き声が響きました。
シュワルツコフは言いました、「オスのオオヒキガエルは、オオヒキガエルの鳴き声に似た音に興味を持ちます。発電機の音を聞いて、集まってくることもあります。」と。ジェームズ・クック大学は、クイーンズランド州北部にあります。オオヒキガエルが最初に移入された地域です。シュワルツコフは、その大学の構内でオオヒキガエルを見つけることができると考えていました。夜の9時頃に、懐中電灯を持って野外に出ました。全く人気のないところで、私たち2人以外には誰もいませんでした。近くをワラビー数匹が跳ね回っていました。しばらく、辺りを探し回りました。私は、心細くなり始めた頃でしたが、シュワルツコフは落ち葉の上のオオヒキガエルを見つけました。彼女はそれを手で持ち上げて、ちょっと見ただけでメスだと認識することが出来ました。
シュワルツコフが言うには、オオヒキガエルには大きな毒腺がありますが、こちらから攻撃しない限り、人間を襲うようなことはないそうです。誤ってゴルフクラブがその毒腺をヒットしてしまうと大変なことになります。毒腺から毒が放散されるからです。その毒が万が一にも目に入ったら、数日間は視力が落ちるでしょう。
私たち2人はもう少しオオヒキガエルを探してぶらぶらしました。シュワルツコフ氏によると、空気が非常に乾燥しており、オオヒキガエルにとっては湿気が少なすぎる状況でした。彼女は言いました、「彼らはエアコンの室外機が大好きです。水が滴り落ちるからです。」と。誰かがホースで散水したばかりの古い温室の近くで、私たちはさらに2匹のオオヒキガエルを発見しました。次にシュワルツコフは、転がっていた棺ほどの大きさの腐った木片をひっくり返しました。すると、まさに大当たりで、汚れた水たまりが出来ていて数えきれないほどのオオヒキガエルがいました。何匹かは積み重なっている有り様でした。私はオオヒキガエルは一目散に逃げるだろうと予測したのですが、全くそんなことは無く、ただそこに座っていて全く反応しませんでした。