本日翻訳し紹介するのは The New Yorker の January 1 & 8, 2024, issue に掲載の Zach Helfand による記事です。タイトルは、” Has Gratuity Culture Reached a Tipping Point? “となっていました。
タイトルを訳すと「チップを渡す習慣は転換点にある ? 」くらいでしょうか。スニペットは、” Paying extra for service has inspired rebellions, swivelling iPads, and irritation from Trotsky. Post-pandemic, the practice has entered a new stage. “(サービスに追加料金を支払うことに、反対する者もいる。iPadをクルッと向けられてチップの額を選ばされるようになった。トロツキーは、強硬にチップの支払いを拒んだ。新型コロナ収束後、チップの額はべらぼうに高額になった)となっていました。筆者の Zach Helfand は、スタッフライターではありませんがかなりの頻度で寄稿しています。守備範囲は、文化、科学等幅広いです。アメリカにのみ残っているチップを渡す習慣について記した記事でした。
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一口コメント
さて、今回翻訳した記事はアメリカのチップの習慣に関するものでした。その文化はアメリカ以外ではほとんど定着していません。もちろん日本にもありません。チップについては、メリットもありデメリットもあります。アメリカで、その文化が定着しているのは、メリットの方が大きいと考えられているからでしょう。しかし、新型コロナ収束後に、理由は分からないのですがチップの額が急激に高くなっています。それが問題となっています。レストランで食事をしたら最低でも 20% は払わないといけません。
また、最近では以前はチップを払う必要がなかった店でもチップを払う客が増えています。スタバ等はチップ不要とされていたのですが、レジ横にチップ入れが置かれています。バリスタがチップを欲しそうな目で客に笑顔を振りまいています。また、駐禁の罰金を払う際にもチップを払う選択肢を選べるようです。公的サービスにチップを払うのはおかしいと思わなくもありません。
チップは、元々、感謝の印を示すものでした。同時に、財力のある者が、財力で劣る者を憐れんで援助するという意味合いもありました。でも、もはや以前とはチップの意味合いがかなり変わってしまったのです。アメリカでもチップの習慣を廃止しようとする機運が盛り上がったことが何度かあったようです。しかし、その試みが成功したことはありません。新型コロナ収束後にチップの基準が大きく上がってしまったことを受けて、チップは止めるべきだと考える者が増えてきました。
しかし、結論から言うと、チップの習慣は廃止するのはなかなか難しいようです。何故かと言う部分は、ちょっと複雑で簡単に説明することができないので和訳全文をお読み下さい。
要約
- チップの習慣が変容しつつある
レジ横のタブレットで、額(%)を選ぶことが多くなった。新型コロナ収束後、急激にチップのレートが上がっている。以前はチップ不要の場所でも必要となったところもある。 - チップの習慣の成り立ち
元々は感謝の意を表するための手段だった。財力のある者が、申し訳無さからそうでない者を援助する意味合いもあった。 - チップの支払い方法は多様
レジ横のタブレットでチップのレート(%)を選択する方法が普及。レジ横にチップ入れが置かれている店も多くなった。重要なのは、チップを払うことを受け取る者に認識して貰うこと。認識してもらえないのであれば、払ってないのと同じである。 - チップに関する訴訟は多い
レストラン等でウエイターに直接チップを手渡ししたり、テーブルに置いていたのが、レジでクレジットカードを使って商品代とチップを合わせて支払うものが多くなった。それを適切に配分しない経営者が多い。ハイエンドのレストランでは、料理代が高額な上チップのレートも高いので、ネコババされたら、バーテンダーは死ぬ。 - 完全に定着したチップの習慣をアメリカから排除するのは困難
廃止する機運が盛り上がったこともあった。が、小さな嵐が起こっただけだった。 - ニューヨーク市には、チップを廃止しているカフェは 1 店舗しか無い。
頑張って伝導してほしいものである。
では、以下に和訳全文を掲載します。詳細は和訳全文をご覧下さい。