本日翻訳し紹介するのはthe New YorkerのWeb版にのみ掲載のコラムで、タイトルは”How Will the COVID Pills Change the Pandemic?”(抗ウイルス薬の登場で新型コロナの感染収束する?)です。英国が新型コロナ抗ウイルス薬を承認した直後の11月21日投稿の記事です。
Dhruv Khullarによる寄稿記事です。氏は現役の臨床医でもありますので、医療関連の記事を多く寄稿しています。医療専門家ですが、私のような医療に詳しくない者にも分かるように書いてくれます。サブタイトルは、”New antiviral drugs are startlingly effective against the coronavirus—if they’re taken in time.”(新開発の抗ウイルス薬は、新型コロナウイルスに対して驚くほど効果的です。しかし、早期に服用する必要があります。)となっています。
英国でメルク社が開発した新型コロナの抗ウイルス薬(モルヌピラビル)が承認されました。おそらく、まもなく米国でも緊急使用許可が下りそうです。また、後を追うようにファイザー社の抗ウイルス薬(パクスロビッド)も両国で承認されそうです。両社の抗ウイルス薬は薬効の仕組みが全く異なるものですので、同時に服用することも可能のようです(モルヌピラビルはRNAの複製機能を阻害する。パクスロビッドはRNAのタンパク質を変容させる)。また、経口で服用できます。発展途上国ではワクチンを接種するのは非常に難易度が高かった(低温配送、医師の確保等が困難)のですが、常温で経口服用というのは難易度が低いですのでありがたいことです。
抗ウイルス薬は特にワクチン非接種者にとって有用です(ワクチン接種者は重症化しないと考えられるので、恩恵は少ないという前提)。発展途上国ではワクチン接種率が低いですし、先進国でもどうしてもワクチン接種できない人はおられますが、感染が判明した際に早期に抗ウイルス薬を服用すれば重症化を防げるようです。現在は、家族が新型コロナに感染したことが分かった際に曝露後服用することが有効か否かについて治験で検証中のようです。それが有効であればメリットはさらに大きくなります。
さて、ワクチンが注射で体内に注入しないと全く効果を発揮しないように、抗ウイルス薬も正しく服用しないと効果を発揮しません。モルヌピラビルの場合は感染後3日以内に、パクスロビッドは5日以内に服用を開始しなければなりません。感染してから服用までのスケジュールをイメージすると、感染する、(感染1日後)高熱や咽頭痛に気づいてPCR検査の予約をし 、(2日後)PCR検査を受けて、(3日後)陽性と判明しその日の内に医師に処方箋を出してもらって薬局に行って薬を受け取って服用を開始する、が標準だと思います。んー、3日以内に服用開始というのは結構難易度が高いのではないでしょうか?バッファが全く無いような気がします。PCR検査できる場所を増やして、体調不良を感じたら即日で検査できるようにしないと厳しいのではないかと思います。
では、詳細は和訳全文をお読みください。