本日翻訳し紹介するのはthe New Yorker のAugust 30, 2021 Issueに掲載の記事です。タイトルは”Invasion of the Robot Umpires”(ロボット・アンパイヤの進出)です。メジャーリーグが導入を検討しているロボットアンパイヤに関する記事です。あまり人気がないようです。
サブタイトルは”The minor leagues have been testing the Automated Ball-Strike System. But isn’t yelling and screaming about bad calls half the fun of baseball?(マイナーリーグが自動ストライク-ボール判定装置を試験導入!ミスした球審が抗議される場面は無くなるのか?無くなるとちょっと寂しい・・・)です。Zach Helfandによる記事です。初めて訳しましたが、沢山記事を書いているようです。また、訳していきたいと思います。
さて、アメリカのメージャーリーグでは、ロボットアンパイヤ―の導入が検討されています。生身の人間の球審の代わりにロボットにストライクかボールかの判定をさせようとしています。ロボットアンパイヤと言うので、R2D2のようなロボットがホームベースとキャッチャーの後ろで立っているのをイメージする方もいるかもしれませんが、違うようです、悪しからず。まあ、カメラがあってホームベース付近を捉えられて、球の軌道を認識できて、それがストライクゾーンを通ったか否かを判断出来て、「ストライク」とか「ボール」と伝えられれば良いわけですから、R2D2のような躯体は必ずしも必要ないですからね。とはいえ、ピザの箱のような形の装置がバックネット裏の記者席の上の屋根に据え付けられるだけのようですから、あまりにもイメージと違い過ぎる・・・。
イメージが違う理由は、英語のRobotと日本語のロボットは違うということが原因です。日本語でロボットというと鉄人28号(古い?)やC3POなどが想起されます。 一方、Robotは勝手に自律的に働く装置を意味しているようです。 自動で半田付けする装置や溶接をする機械などを産業用ロボットと言いますが、その”ロボット”が Robot の意味に近いと思います。
ところで、ロボ-アンパイヤの導入案はあまり人気が無いようです。審判員が反対するのは分かります。今まで誇りを持ってやってきたのに、ロボットに職を奪われたらやってられませんからね。しかし、選手や観客でも反対する人が多いそうです。審判の誤審も含めて野球の醍醐味であるので、それが無くなってしまうと、それはもう野球ではなくなってしまうというのが理由のようです。私は、どちらかというと賛成派です。判定が正確になるというのは良いことだと思います。大谷選手なんか、明らかにボールと思われる球をストライクとされているように思えるんですが(たぶん、思い違いで球審の判断が正しいと思いますが)、機械が正確に判定すればモヤモヤ感が晴れます。また、抗議とかも無いでしょうから、試合の進行も早まって、プレイを集中して見れるようになると思います。サッカーでもVAR(ビデオ・アシスタント・レフリー)が導入されましたが、概ね好評のようです。人間の目では追えなくて誤った判定をしてしまっても、VARのおかげでそれが覆ることが度々あります。より正確で公平なレフェリングにつながっていると思います。
あと、この記事を読んで知ったのは、MLB機構は将来ファンが減る可能性があることを非常に危惧しているということです。アメリカでは、競馬やボクシングが非常に人気が凋落しているそうですが、メジャーリーグは同じ轍を踏まないようにいろいろと考えているようです。あれだけ人気があって観客動員力もあるのに、危機感を抱いているというところが凄いと思いました。そうした危機感を常に持って、ファンが何を求めているかを問い続けた結果、あのようなビッグビジネスになったのだろうと思いました。
では、以下に和訳全文を掲載します。