youtube上に氾濫する素人自警団の動画!出会い系サイトで小児性愛者を誘い出し、懲らしめる!問題多くね?

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 オデッサは石油資源の豊富なパーミアン盆地(Permian Basin)に位置する都市で、油田開発に従事する多くのトランジットワーカー(transient workers:季節労働者)が集まってきます。犯罪率は州平均をはるかに上回り、犯罪被害者に対するフォローも恐ろしく貧弱です。カムは、YouTubeに投稿されている動画の中には洗練された内容のものがあって、素人がおとり捜査のようなことをすることを戒めるものがあることを認識していました。しかし、彼女の夫とその弟は、そうした戒めを気にしませんでした。彼らは、「パーミアン盆地プレデター・パトロール(Permian Basin Predator Patrol)」という名前を使って、出会い系サイト(dating site)でプロフィールを偽ってプレデターをおびき寄せ始めました。カムは実在する子供の写真は使いたくなかったので、自分の顔写真を加工して若返らせた画像や義弟の顔写真を加工して女性化した画像をアップロードしました。「彼はとても若く見えるのよ。15歳くらいに見えるわ。」 と、彼女は言いました。そうして出会い系サイトに偽りのプロフィールを登録する際には、年齢は18歳に設定しました。しかし、そのサイト内で彼女がプレデターとオンラインチャットをする際には、本当の年齢は15歳と言ったり、16歳だと告げていました。それを聞いて、すぐに彼女をブロックしたり、チャットをやめたりするプレデターもいましたが、ほとんどは平然とチャットを続けました。

 昨年4月に、パーミアン盆地プレデター・パトロールは、オデッサにあるウォルマートの店舗で最初のおとり捜査を試みました。カムは言いました、「相手がどんな反応を示すか分かりませんでしたから不安でしたし、銃を持っているかもしれませんから少し怖かったですね。何といってもここは銃の所持が自由なテキサス州ですからね。」と。最初のおとり捜査の動画は、おびき寄せたプレデターとの短い口論の映像だったのですが、状況が読み取りにくい仕上がりとなってしまいました。所々で音声がこもってしまっていて、何を話しているか聞き取れない部分があったからです。しかし、その動画のアップロードから1週間後、カムのスマホには通知が数十件も届いていました。パーミアン盆地プレデター・パトロールの動画がかなりのビュー数を稼いでいました。コメントの大部分は肯定的なものでした。カムたちのことを自警団と呼んで賞賛するコメントも少なくありませんでした。カムは言いました、「コメントは、私たちがおとり捜査をしたことに対して感謝する内容のものがほとんどでした。テキサス州でもそろそろ誰かがやらなければならないと思っていたという意見もたくさんありました。また、プレデターと思われる人物がいるので調べて欲しいと言って、個人名を教えてくれる人もいました。」と。

 テレビ番組「To Catch a Predator」では、ハンセンと団体「Perverted-Justice(歪んだ正義)」は、警察と緊密に連携しているように見えました。当初、パーミアン盆地プレデター・パトロールのメンバーたちは、自分たちが捜査した内容を当局に提供し、その情報をもとに当局が逮捕に踏み切ることを望んでいました。しかし、彼らの投稿した動画への注目度が高まり始めて間もなく、彼らはオデッサ市警に呼び出されて話し合うことになりました。カムによると、オデッサ市警は彼女たちの活動を認めていないと言ったそうです。彼女は言いました、「市警が明確に言ったのは、私たちのおとり捜査には関与しないということでした。また、私たちがおとり捜査で得た情報等を市警に渡すなとも言われました。私の推測ですが、市警がそう言った理由は、厄介なことに巻き込まれたくないということと、余分な仕事を増やしたくないことだったと思います。」と。

 オデッサ市警の対人犯罪課のブラッド・クライン(Brad Cline)警部補は言いました、「私たちは、容疑者をわなにかけないように気をつけています。また、プレデターを逮捕する際にも細心の注意が必要です。」と。

 パーミアン盆地プレデター・パトロールは、その後も男性をおびき寄せる動画を作り続けました。当時、カムが考えていたことは、たとえ逮捕に繋がらなくても、少なくとも世間にプレデターの危険性を知らしめることはできるだろうということでした。彼女は、出会い系サイト上で、チャット相手の男性が素性を偽っていても、その正体を見破れるほどになりました。その専門家と言っても過言ではないレベルでした。彼女は言いました、「私たちは、まるでFBIの女性潜入捜査官のようでした。」と。時にはプレデターの男性を特定して、Facebook上でその男性の家族を探し出し、その男性の母親などにその男性が送った卑猥なメッセージのスクリーンショットを送信したりしました。時には、そうした男性の雇用主に電話をかけたりすることもあったそうです。彼女は言いました、「電話をした内の3人は解雇されたと思います。」と。

 プレデターズ・キャッチャーズ・インディアナポリス(Predator Catchers Indianapolis)というグループによるおとり捜査がきっかけで、1人の男性が児童勧誘の罪で有罪判決を受けました。当地の検事はワシントン・ポスト紙に対して、そうした素人のおとり捜査によってプレデターの検挙数が増えることを期待していると語りました。その検事は言いました、「児童を虐待するプレデターを素人がおとり捜査で特定して懲らしめることが許されるのならば、『窃盗犯や麻薬密売人なども同様にどんどん懲らしめたら良いのではないか?』と言う人が出てくるかもしれません。」と。

 YouTube上には、カムたちのようにプレデターハンターをして、その一部始終の動画をアップしているグループが無数にあります。いずれのグループも自分たちを紛れもなく善い行いをしているという前提でそうしたことをしているように見受けられます。いずれのグループでもほとんどのメンバーが男性のようで、カムは数少ない例外のようです。グループによって、アップしている動画の内容やレベルはさまざまで、まさに玉石混合といった感じです。そんな中でも1番酷い動画では、あるプレデターハンターグループの一員であったカイル・スワンソン(Kyle Swanson)という男が重罪に問われても仕方無いような行動をしていました。スワンソンはプレデターと疑われる男を自分の車に誘い込み、殴ると脅迫して逃れられないようにするという事件を起こしていました。それで、公務執行妨害と不法拘束を理由に逮捕されました。最終的にスワンソンは司法取引に応じ、不起訴となりましたが、その代わりに所属していたプレデターハンター・グループのFacebookを閉鎖することに同意しました。また、報じられたところによると、オハイオ州を拠点とするグループ「Dads Against Predators(プレデターに反対する親父たち)」は、騒ぎを起こしたとして地元の全ての食料品店への出入りを禁止されたそうです。また、2018年にはコネティカット州の20歳のプレデターが、プレデターハンターのグループにおびき出されて対面し詰問された直後に、首を吊るという痛ましい事件がありました。また、パーミアン盆地プレデター・パトロールがアップしたある動画は、男が泣きながらうなだれているところで終わっていました。その後、その男は道路の車列に身を投げたそうです。

 カムは今でもプレデターがあちこちに沢山いることを認識しています。しかし、最近、彼女はプレデターに近づくのが困難になっています。あちこちの出会い系サイトで彼女のプロフィールがバレてしまい、彼女が素性を偽って作ったアカウントはほとんどが閉鎖されてしまいましたし、新たに出会い系サイトにアカウントを作ることも困難になっています。10代になりすますのは、思っていたよりも難しいようです。そうした状況を知って、私は彼女を慰めました。私が彼女に言ったのは、出会い系サイトが偽のアカウントを作れなくしたことは悲しむべきことではなく、むしろプレデターを駆逐する為の良い兆候であるということでした。しかし、カムは言いました、「でも、素性を偽ったアカウントが5件凍結されている間に、運営側の審査をすり抜けて10件の出鱈目なアカウントがつくられているんですよ。」と。現在、彼女自身は一時的とはいえプレデターをおびき寄せて懲らしめることが出来ない状況にあるわけですが、彼女たちが動画をアップしてプレデターが潜在的な脅威であることを人々に認識してもらいたいというメッセージは広まっていたようです。「オースティンだけでなく、テキサス州の他の地域からも、沢山のメッセージが届くんですよ。同じようにプレデターハンティングをしたいので、やり方を教えてくれという内容が多いんですよ。」と彼女は言いました。 ♦

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