インフレ終了!! バイデンが 21 年に実施した金融緩和 + 財政出動の政策セットは正しかったのか?

 本日翻訳して紹介するのは、 12 月 5 日に  the New Yorker の Web 版にのみ掲載された John Cassidy によるコラムです。タイトルは、”The Lessons of Pandemic Inflation“(新型コロナによるインフレから学ぶべき教訓)となっています。

  John Cassidy はスタッフライターです。経済、政治、文化等幅広い分野の記事を書いています。今回訳したコラムのスニペットは、”As the inflation rate continues to fall, a new White House study emphasizes the central role that supply-chain disruptions have played in the economy.”(インフレ率が下がり続ける中、最新の大統領経済諮問委員会の報告書は、サプライチェーンの混乱がインフレの主因であったと強調している。)となっていました。ようやく新型コロナ後のインフレが収束したようですが、振り返ってインフレの原因は何であったのか、バイデン政権の対処は適切だったのかということが論じられています。

 結論を言いますと、インフレの原因は 21 年から 22 年にかけてバイデンが量的金融緩和と超大型財政出動の政策セットを実施したことにあります。こういうと、あのクソジジイはとんでもないことをしやがったと非難する人がいるかもしれません。しかし、 2 年前のことなんて誰も覚えていないかもしれませんが、あの時はそうするしか無かったのです。世界中を見回しても金融緩和と財政出動をしなかった国はほとんど無かったはずです。

 思い出してほしいのですが、インフレ圧力を高めた原因はサプラーチェーンの混乱にもあったのです。こちらの方が影響が大きかったのです。新車が無いので、中古車が新車より高い値段だったのを覚えている方も多いと思います。そのサプライチェーンの混乱も無くなって、ようやく物価上昇率も FED が目標とする 2% に近づいてきました。多くのエコノミストがインフレを収束させるには、雇用を犠牲にしなければならないと主張していました。しかし、バイデンは雇用と生産の強さを維持したまま、インフレ退治に成功したようです。これは快挙です。バイデンはもっと賞賛されるべきというのが Cassidy の主張です(他の記事を読んでいると分かるのですが、彼は結構トランプ氏が嫌いなようです)。

 まあ、私が思ったのは、たまたまバイデンの政策が上手くいっただけだと思います。本当にたまたまだと思います。褒めるべきことでもないし、貶すべきでもないと思います。そもそも誰も正確な景気予測などできないし、インフレに至ったメカニズムを正確に理解できている人物などいないわけです。元財務長官のローレンス・サマーズ(典型的な賢そうな顔つきですが)でさえ、偉そうなことを言いながら今回のインフレに関してはさんざん見立て誤っています。ですから、どこの国の政策立案者も勘を働かせて良かれと思った政策をやるしかないのです。どうせ自分のお金じゃなく人のお金だから、何にもしないで非難されるくらいなら、博打を打ったれってな具合です。その政策が当たったからといって褒めるべきではないですし、逆に当たらなかったそしても責められるべきものでもないのです。

 では、以下に和訳全文を掲載します。詳細は和訳全文をご覧ください。