シリコンバレー銀行(SVB)の破綻が暗示しているのは何?SVBは、リーマンブラザーズと違って悪くなくない?

 本日翻訳して紹介するのは、the New Yorker Web版に3月13日に掲載された John Cassidy のコラムで、タイトルは”The Old Policy Issues Behind the New Banking Turmoil”(新たに銀行が破綻した背景には、2008年の金融政策の変更が影響)です。

 スニペットは、”Many of the issues surrounding the closure of Silicon Valley Bank are the same ones that the 2008 crisis raised.”(シリコンバレー銀行の破綻で問題となったことの多くは、2008年の世界金融危機で問題となったことと同じです)となっていました。

 さて、このコラムの主旨は、2008年のリーマンショックと同様なことが起きてしまったが、再び起こらないように規制を整備することが重要であるということです。なるほど、2008年のリーマンショックの発生を受けて、同様のことが起こらないようにドット・フランク法を制定したり、様々な規制や改革が行われました。しかし、今回また中規模の銀行が破綻する事態となってしまいました。二度と起こらないように規制をすることは非常に重要です。

 そうだと思うのですが、リーマン・ブラザースとシリコンバレー銀行の破綻は全く違います。同列に語れないこともあるのではないかと思いました。リーマンはリスクを目一杯背負って怪しい仕組みの分からないないような債権をいっぱい保持していました。非常に悪質でした。一方、シリコンバレー銀行はほとんど国債(Treasury bonds)で運用していました。予測される資金需要と運用の期間(duration)が合っていなかたというのはいただけないわけですが、昨年から始まった急激な金利上昇がなければ全く問題無かったはずです。長期の国債を現金化する必要がなければ(償還まで保持していれば)損失は出なかったのです(大手銀行と違って、SVBのような中堅以下の銀行は決算ごとに時価評価する必要が無い)。取り付け騒ぎが起こってしまって現金化するしかなくなり損失が実現化しまって閉鎖されるにいたったのです。SVBはインフレとか金利上昇の被害者だと思います。

 とはいえ、今回訳したコラムには、同様の危機が再び発生しないようにどうすべきかということが記されていて、なるほどと思いました。詳細は、和訳全文をご覧ください。以下に和訳全文を掲載します。