本日翻訳して紹介するのは、11月25日に the New Yorker の Web 版にのみ掲載された Elizabeth Kolbert による COP28 開催について記したコラムです。タイトルは、”The Road to Dubai”(ドバイへの道)となっています。
Elizabeth Kolbert はスタッフライターです。気象や自然や環境に関する記事を専ら書いているようです。著書も多いです。日本語に翻訳されているものもいくつかあるようです。今回邦訳したコラムのスニペットは、”The latest round of international climate negotiations is being held in a petrostate. What could go wrong?”(まもなく気候変動に関する会議が石油産出国で開催される。会議は踊る、されど進まず?)となっています。11月30日から UAE のドバイで COP28 が開催されるので、それに関する内容となっていました。
さて、 COP の会合が毎年開かれています。COP とは何か?というと、締約国会議(Conference of the Parties)のことで、全ての条約締結国(実質的には地球上のほぼすべての国)の代表が年に1回の頻度で一同に会して、条約の実施に関するレビューや各種決定を行います。代表の随行する者もたくさんいますし、 NGO やロビー活動家や環境に優しい技術のお披露目に余念のない企業もたくさん現地入りしますし、報道陣も殺到します。とても華々しいイベントです。推定では7万人が現地入りするとされています。いかにして温室効果ガスを削減するかを話し合う会合なのですが、7万人が移動するだけで膨大な量のガスが排出されてしまいます。
それでも、この会合で有効な施策が決まり、それが実行に移され、実際に温室効果ガスが削減されていれば7万人の移動で出るガスは決して無駄ではなかったと言えます。しかし、ご存知のように全く成果は出ていません。理由はいくつもあります。まず、この会合ではコンセンサス方式を採用していて、基本的には全会一致でしか合意文書を採択できないということがあります。ですので、これまで実効性のある合意文書が出されたことは1度もありません。また、各国が独自に削減目標を定めることができる形になっていることも問題です。各国の目標を見ると、具体的な削減量が定まっていなかったり、期限が明確でなかったり、数字が謳われておらずレビューすることが不可能なものもあります。
ということで、まったく成果の無い会議の見本のようなCOP会合ですが、1つだけ開催する価値のある事項があります。それは、全締結国の代表が参加するので、バヌアツとかセーシェル諸島とか海面上昇の影響で水没の危機にある国々の惨状を知ることができるということのようです。そんなことは他の方法で認識できるわけで、大きな価値があるとまでは言えません。
岸田首相が出席するようですが、各国首脳と会談して笑顔で写真だけ撮って帰ってくるというようなことのないようにお願いしたい。笑顔でたくさん拠出金を出すという約束をするのも止めていただきたい。それ、温室効果ガス排出量が減ればよいのですが、まったくの無駄金ですから。実際、日本にはもうお金あんまり無いですから。「こんな会合は成果が無いから脱退するっ!」くらいのことを言って、スタッスタッと議場を後にするのも良いと思います。主張が通らなければ脱退するという松岡洋右以来の日本のお家芸を披露してほしいものです。たとえそれで国際社会から孤立しても、日本だけ地道に温室効果ガスの削減に取り組めばいいんです。あるいは、「温室効果ガスを出したくないから、俺は泳いで帰るぞっ!」なんて言うのもよいかもしれません。それで、いきなり服を脱ぎだして、海パン姿になり、「安心してください、履いてますよ。」と言うのもありです。
では、以下に和訳全文を掲載します。詳細は和訳全文をご覧ください。