アメリカ パウエル議長率いるFRBは金利を上げ続けそう?景気後退局面入りの兆候が明確に見受けられるが・・・

 本日翻訳して紹介するのは、the New Yorker Web版にのみ掲載のJohn Cassidyによるコラムです。タイトルは”Two Key Things to Know About This Confusing Economy”(混乱するアメリカ経済について知っておくべき2つの重要なこと)となっています。

 本日翻訳するコラムは、1月25日(木)にアメリカのGDP成長率が発表されたことを受けて投稿されたものです。その数字を見ると、アメリカ経済は堅調のように思えます。また、27日(金)発表のPCEデフレーターも12月は5.0%に下がっており、インフレ率も落ち着きつつあります。今後のアメリカ経済を見通すことは不可能ですが、過去の実績は明らかで、パンデミックから強力に回復し、急上昇していたインフレ率も収まりつつあります。

 誰も覚えていないと思いますが、アメリカで新型コロナパンデミックが始まった頃には、失業率は10%を超えました。そこから、経済をちょっとづつ再開していき、バイデン政権によって、大規模なインフラ投資や景気刺激策が実行されました。そうした施策が奏功したわけです。これは誇って良いことです。アメリカ経済は、新型コロナから他のどの国よりも早く立ち直りました。その上、他のどの国よりも早くインフレが収束しつつあります。

 しかし、ここまで上手く回復してきたアメリカ経済が今後どうなるかは誰にも見通せません。このまま景気拡大が続くのか?それとも萎んでしまうのか?各種指標を見ると既に景気後退局面入りする兆候があちこちで見られます。このコラムの筆者のCassidyは、パウエル議長率いるFRBが、早期に金利上昇から金利下落に舵を切ることを望んでいるようです。たしかに、アメリカでは、そうした声が優勢のようです。

 しかしながら、FRBパウエル議長は、金利をなかなか下げないのではないでしょうか。FRBはことあるごとに、まだまだ物価は高い、金利は上げ続けますよ、だから投資家の皆さんは株式市場等から早めに逃げてくださいねという警告を発してきました。ですから、2/1の政策決定会合では、FRBはマーケットコンセンサスとおり0.25%の利上げを実施するでしょうが、それ以降も直ぐには利下げに転じない気がします。2/1のパウエル議長発言は要注目です。彼は、かつてMMTはやらないと言っていましたので、安易に利下げに舵を切るようなことは無いような気がするのです。

 市場では、アメリカの現在の株価は買われ過ぎであり、景気減速に伴い株価が大きく下落すると予想する向きも多くなってきました。JPモルガン・チェースのマルコ・コラノビッチなんかがそう警告しています。でも、この人の予測は全く当てになりませんから、ご安心下さい。この人は、ここ数年間、予測を大きく外し続けたので、曲がり屋として有名になってしまいました。彼が懸念を表明した後、コラノビッチが市場が過熱しすぎていると言っているから買いだという雰囲気が市場に広がり、米株式市場は大きく値を伸ばしたくらいです。

 重要なのは、景気や為替や株価などは、そもそも予測するのが不可能であるということを認識することです。偉い学者や著名なエコノミストでも無理です。

 では、以下に和訳全文を掲載します。詳細は和訳全文をお読みください。