炭素を除去するテクノロジーの進化について 嘘でしょ?残念ながら焼け石に水以下のレベルだった! 

 本日翻訳し紹介するのは The New Yorker の Web 版に 6 月 7 日に投稿された Michelle Nijhuis の寄稿でタイトルは” What Is the Opposite of Oil Drilling? “(石油掘削の悪影響を打ち消す手段はあるか?)

となっています。

 Michelle Nijhuis はスタッフライターではありません。自然とか動物とか環境に関する記事をたくさん寄稿しています。スニペットは、” growing industry aims to remove carbon from the atmosphere—but it’s still in its infancy, and greenhouse-gas emissions remain dangerously high. ”(大気から炭素を除去する業界は成長を続けることを目指しているが、まだ初期段階にあり、温室効果ガスの排出量は依然として危険なほど高いままである。)となっています。


 さて、今回翻訳した記事は炭素を除去するテクノロジーの進化について記したものでした。その中でもバイオマス(木や草)をバイオオイルにして地中に埋設する方法について特に詳述しています。木や草は燃えたり分解されてしまえば大気中に炭素が放出されるわけですから、地中に安定した形で半永久的にバイオオイルを格納できるのであれば、それはまさしく化石燃料を燃やすのと全く逆のプロセスと言えます。つまり、その分、地球温暖化を逆向きに進めることができます。

 他にも大気中の炭素を吸収する方法(直接空気回収技術 direct air capture 略号はDAC )などの研究も進んでいるようです。これらを研究している企業から、既に炭素を大量に排出する企業の多くが炭素除去クレジットを購入しているそうです。そうしたことを聞くと、地球温暖化を防ぐための炭素除去技術は格段に進化していて、地球温暖化をそのうち止めれそうなような気がします。やったぞ地球、すごいぞ地球!

 しかし、そうではないようです。そもそも炭素除去クレジットを売っている企業はたくさんあるものの、それらの内のほとんどはまだ 1 キロたりとも炭素を除去していないのです。また、毎年ギガトンレベルで炭素を毎年除去することを数十年続けないといけないのですが(それも今すぐに)、上に記した炭素の除去に成功した企業でさえ、世界で一番炭素を除去しているのですが、年に 7 千トンでしかないのです。焼け石に水以下、すずめの涙以下です。砂漠に落としたコンタクトレンズです。いやもう、炭素を大量に排出する中国が悪いとか、牛のゲップが問題であるとか、気候変動に関する政府間パネルが機能していないとか、すべて小さい問題でしかありません。たぶん、すべての地球温暖化防止のための議論や取り組みは無駄なような気がします。たぶん、炭素除去のテクノロジーを必要な規模まで拡大するよりも、地球温暖化が摂氏 5 度とか 10 度とか進んでも人類が生きられるテクノロジーを確立するほうが難易度が低い気がします。

 目の前が暗くなりそうですが、テクノロジーの進化のスピードは予測不能ですから、突然炭素を容易に大量に除去できるテクノロジーが生み出されることを祈すしかないと思います。あと、自分が死ぬまでは夏にエアコンを使えば過ごせるレベルの温暖化でとどまって欲しいとは思います。これって無理なんですかね。いや、歳を重ねると寒いのも苦手だけど、暑いのはもっと苦手になるんですよ!

 では、以下に和訳全文を掲載します。詳細は和訳全文をお読みください。