本日翻訳して紹介するのは、the New Yorker のWeb版に5月4日に掲載された Ted Chiang によるコラムで、タイトルは”Will A.I. Become the New McKinsey” (AI は新たなマッキンゼーになるのか?)です。Chiang氏はときどきIT関連のコラムを寄稿しています。
今回訳したコラムはAI(人工知能)に関するものでした。Chiang氏は、AIはマッキンゼーのようなものだと看破しています。氏は、マッキンゼー等のコンサル会社をあまり良く思っていないわけではありません。私は新規事業開発に携わったことがあるのですが、その際にマッキンゼーからアドバイスをもらっていました。間違いなく私が会った同社のパートナー等は無茶苦茶優秀な人しかいませんでした。最低でも東大卒でした。新規事業でキャッシュを生み出さない段階でしたので、億単位のフィーを払えるはずもなく、親会社(ホールディングス)が知見を得るためのコンサルティングだったので、親会社にそれを負担してもらった記憶があります。他のコンサル会社(ボスコン等)と比べると10倍以上の単価でしたかね。マッキンゼーと仕事をしたことがない人は、そこまで高くないだろうと言う人が多いわけですが、嘘ではありません。それほど、価値があります。
さて、本日訳したコラムでは、AIとマッキンゼーには共通点があると指摘しています。私なりに理解した限りでは、AIもマッキンゼーも資本家への富の集中度を高めるのに寄与するという点が共通点として指摘されていました。AIは、労働者の代替えとなり、失業者を増やす可能性があります。コンサル会社は、経営者に株価を上げて経営者の報酬を増すために大量解雇を実施するよう促します。与し方は違うわけですが、いずれも労働者に苦境を強いるというわけです。
しかしながら、AIとコンサル会社が悪いのではないとも考えられています。両者はともに元々は善でも悪でもないニュートラルなものなのですが、それを頼る、それを使う資本家の使い方が誤っているのかもしれません。
それを是正するには、ラッダイト運動をするのが良いのかもしれません。ラッダイト運動というのは、現在では機械等を壊した野蛮な人たちの活動と解されているわけですが、実際にはそうではなかったのです。暴利を貪る資本家が経営している工場は壊されましたが、労働者に理解のある工場主の機械は壊されなかったのです。悪いイメージが定着したのは、資本家等が再びあのような運動が盛り上がらないようにするために、そういうレッテルを貼ったことが理由です。
さて、話がそれてしまいましたが、以下に和訳全文を掲載します。詳細は和訳全文をご覧ください。