イスラエルの苦境! イスラエルはハマスを軍事作戦では圧倒しているが、プロパガンダ合戦では後塵を拝している!

 本日翻訳して紹介するのは、the New Yorker Web版に10月30日に投稿された David D. Kirkpatrick と Adam Rasgon による記事です。タイトルは、”The Hamas Propaganda War”(ハマスのプロパガンダ合戦)です。

 本日翻訳した記事はイスラエル情勢についてのものです。イスラエルが強硬に反撃しようとしています。ガザ地区を完膚なきまでに叩き潰し、ハマスを根絶しようと考えています。しかしながら、世界中から支持が得られているわけではありません。バイデン大統領のイスラエル支持はゆるぎないものですが、その姿勢が批判の的となっています。

 何故でしょうか。それは、ハマスがイスラエルとのプロパガンダ合戦で優位に立ったからです。ハマスは、イスラエルに攻撃を仕掛ける前にプロパガンダ合戦の準備を周到にしていました。ハマスは、そもそもイスラエルに対する奇襲が成功したとても、直ぐに報復されて苦境に陥ることを予測できていました。装備も兵員数も圧倒的に劣っているわけですから。それで、反撃されて苦境に陥った時には、ガザ地区の苦境を世界中に拡散して自分たちへの同情を集めようと考えていたのです。それができるよう、事前に周到に準備していまいました。だから、イスラエルが反撃をして直ぐに、ガザ地区の瓦礫の下の死体や負傷した子どもを抱いて憔悴している母親の映像が世界中に拡散されたのです。

 これまでのところ、ハマスのプロパガンダ戦略は、かなりの成果を上げています。パレスチナに同情が集まっており、イスラエルには無慈悲な攻撃をする悪役のイメージが付きつつあります。それは、日本とか欧米諸国に住んでいるとわからないのですが、アラブ世界やグローバル・サウスの国々では特に顕著です。欧米列強にこれまで散々虐げられてきたという意識が根底にあり、苦境のパレスチナ人にシンパシーを感じやすいのかもしれません。

 ガザ地区で亡くなった人たちは、直接的にはイスラエルの反撃によって殺されました。しかし、ある意味、世界中から同情を得るための映像を作るために、ハマスがイスラエル軍が殺すように仕向けた側面もあるのです。ガザ地区からイスラエルを攻撃したわけですが、それをしたらガザ地区が報復で激しい攻撃を受けることは事前に想定できたはずです。イスラエルが1人殺されたら、10倍〜100倍は殺し返しにくるなんてことは、ハマスは予測できたはずです。予測していたのに、ガザ地区が報復された際の惨状を動画に撮ってすぐに拡散できるように準備してから、イスラエルを攻撃したのです。つまり、ハマスがパレスチナ人を人間の盾にしたということなのです。ですから、イスラエルだけを非難すべきではないのです。そもそも攻撃を最初に仕掛けたハマスはもっと非難されるべきだと思います。

 イスラエルが悪いのか、ハマスが悪いのか、双方が悪いのか、双方ともに悪くないのか?私にはわかりません。分かっているのは、ハマスもイスラエルもガザの住人がどれだけ死んでもあまり気にしていないということだけです。ハマスは、大義を掲げて戦争ができればそれで良いようです。死人がたくさん出ても、それを動画にして世界に拡散してパレスチナへの同情を集められたられば良いと考えているようです。また、イスラエルも、ガザ住民を占領地に住む邪魔な者としか考えていないので、さっさと排除したいだけのようです。ガザの住民が平和に暮らせる日が来ることを祈るばかりですが、そこに留まっていても平和は訪れないような気もしますし、他の国に出国しても厄介者扱いされるだけのような気もします。悲しいかな解決策が無いような状況に見えます。かつてモーゼに率いられてエジプトから脱出しなければならなかったイスラエル人の境遇と似ているのかもしれません。ガザの住民が平和に過ごせて、イスラエルがアラブの兄弟たちと調和を保って仲良く暮らせる日が来ることを願わずにはいられませんが、私が生きているうちにそんな日が来ることはなさそうです。。 

 話がそれましたが、以下に和訳全文を掲載します。詳細は和訳全文をご覧ください。