6.世界中に遍在している再生可能エネルギーを有効に使いたい
送電網全体で再生可能エネルギーのみが使われ、完全にクリーンで、環境負荷が全く無い状況にすることは不可能かもしれません。化石燃料を使う火力発電や原子力発電は廃棄物等が出ることが問題であると分かっているのですが、完全に無くすことは難しいように思われます。エネルギー需要の急増時には、リチウムイオン電池や天然ガス火力発電の力を借りる必要があるかもしれません。何といっても、天然ガス火力発電は急激に出力を上げ下げできるのが魅力です。しかし、現在研究開発されているエネルギー貯蔵技術の内のいくつかが運よく確立される可能性が無いわけではありません。そうすれば、再生可能な方法で産生されたエネルギーを、再生可能な方法で貯蔵することによって、環境負荷の全く無い未来を実現できる可能性がないわけではありません。そうするためには、風力発電所や太陽光発電所を陸地や海岸線にもっと設置しなければならないでしょう。また、地熱発電所も増やして地熱の利用も増やすべきでしょう。また、揚水式水力発電所や地中に圧縮水を保持するエネルギー貯蔵設備等ももっと増やさなくてはならないでしょうし、他のエネルギー貯蔵設備も増やさなければならないでしょう。工業地帯では、ブロックを移動することでエネルギーを貯蔵する塔のような設備をたくさん作るべきでしょう。農村部では、地下に流れ込んだ水を貯めて、エネルギーが必要な時に再び水を戻すような設備をたくさん作るべきでしょう。太陽が照って、風が吹けば、送電網には多くの電力が流れ込みます。過剰な電力を貯めておく必要があります。それで、曇天で無風の時には、貯めていた電力を吐き出して、それで工場を稼働させ、家庭やオフィスやさまざまな機器に必要な電力を供給するのです。そうすれば、化石燃料を燃やすことを止めることができます。エネルギー貯蔵方法が開発されれば、そうした未来が現実のものとなるでしょう。
スイスから帰ってきて、私は散歩をしました。太陽が私の顔を暖めました。また、風が吹いたので、まばたきをしました。20年前に太陽光や風力によって必要なエネルギーがまかなえると言ったら、多くの人は信じなかったでしょう。しかし、徐々にではありますが、いずれそうしたことが実現するかもしれないと思えるようになりつつあります。再生可能エネルギーの産生が増え続けたように、エネルギー貯蔵方法の技術も長足の進化を遂げる可能性があります。空を見上げたところ、雲が垂れ込めていて今にも雨が降り出しそうでした。雲の中には水が貯えられています。つまり、エネルギーが貯蔵されているということです。降った雨は私の足元の地盤に染み込みますが、エネルギーが必要な時には、容易に汲み上げて発電できそうな気がします。自然界には、電力を産生する際に活用できるものが遍在しているのです。それらは永遠に使い続けることができます。♦
以上