本日翻訳し紹介するのは、The New Yorker のJanuary 24, 2022 Issueに掲載の記事です。タイトルは、”The Rise of A.I. Fighter Pilots”(AI戦闘機パイロットの台頭)です。アメリカ空軍で人工知能を使った自律型戦闘機の開発をしていることに関する記事です。
サブタイトルは、”Artificial intelligence is being taught to fly warplanes. Can the technology be trusted?”(人工知能による自律型戦闘機の開発が進む。人工知能はどこまで信頼して良いの?)となっています。Sue Halpernによる記事です。彼女はスタッフライターです。7冊もの著作があります。1冊は日本語に翻訳されてAmazonで売っています。オックスフォードで認知学の博士号をとっているようです。彼女のご主人は、かの有名なビル・マッキベンです。この記事は、アメリカ空軍の無人戦闘機関するものです。
アメリカ国防総省は、防衛分野における人工知能の研究開発に巨費を投じています。人工知能を進化させて、無人戦闘機、無人艦、ロボット戦車の開発を目指しています。また、情報収集や兵站にも人工知能を活用しようとしているようです。それで、日進月歩でテクノロジーは進化しているわけですから、人工知能は既にかなりレベルが高くなっています。想像以上かもしれません。
人工知能は、人間よりも特に判断速度が高速である点が優れています。また、人間は戦闘機に乗ると急降下とか急上昇を頻繁に繰り返すことが出来ないのですが(トップガンのトム・クルーズみたいに失神してしまう)、人工知能にはそうした制約がないので、急上昇急降下を繰り返すという操縦も可能になります。また、人工知能は、反応速度が人間よりも格段に速いです。
では、人工知能が人間に劣っている点は何でしょうか?この記事によれば、予測不可能な事象に対して適切な反応が出来ないことであると記されていました。人間の脳は、人工知能と違って、そうした事象に出くわしても過去に経験した似た事象などを参考に適切な選択肢を選ぶことができるそうです。特に、戦場では予測不可能な突発的な事象が起こりがちですので、このことは人工知能の軍事利用を阻む要因の1つとなっているようです。
この記事の主旨は、人工知能がもっと普及するためには、人工知能に対する信頼度が上がらなければならないというものでした。人工知能のレベルは以前と比べると相当高くなっているものの、それに対する人々の信頼度は全く高くなっていないのです。人工知能はここまで進んでいるんだぞとか、こんな兵器が出来つつあるんだぞという記事ではありませんので、ご了承下さい。
では、以下に和訳全文を掲載します。