トランプが選んだ FRB 議長の正体は?―利下げ派のはずが突然タカ派へ?市場は彼の本音を読みあぐねている!

トランプ大統領が FRB 議長に抜擢したケビン・ウォーシュ。AI によるデフレ効果を理由に利下げを示唆していたはずが、就任直後には強硬なインフレ退治を宣言した。この変節は信念なのか、何か計算があるのか。トランプとの微妙な関係、市場の思惑・反応、そしてアメリカ経済の行方を読み解きます。

本日翻訳して紹介するのは、John Cassidy によるコラムです。New Yorker の web 版に2026 年 6 月 23 日に投稿されたものです。タイトルは、” Who Is the Real Kevin Warsh? “(ケビン・ウォーシュの本当の姿とは?)となっていました。Cassidy はスタッフライターで、the Financial Page という経済関連のコーナーを担当しています。紙の紙面で見ると、ちょうど 1 ページ( 3 列組み)です。なかなか示唆に富んでいます。ちょっとトランプには批判的なスタンスです。スニペットは、” Before the new Fed chairman got the job, he intimated that the central bank could cut interest rates, but last week he assumed the role of an inflation hawk. (就任前の新 FRB 議長は中央銀行が利下げを行う可能性を示唆していた。しかし、先週、インフレ退治の役割を担う決意を表明した)となっています。

さて、このコラムが投稿されたのは 6 月 23 日です。それから今日( 7 月 2 日)までで、状況は大きく変わりました。このコラムの主旨は、ウォーシュはインフレタカ派を装っているが、結局はトランプに媚びて利上げしない可能性が高いのではないか、どうかな、というものです。しかし、マーケットはウォーシュが利上するとの予測になびきました。6 月 30 日には利上観測が強まり、日米金利差拡大を背景に円安が急速に進みました。

しかし、上のようにマーケットが動いた根底には、インフレが続くという前提があります。それで、ケビンがインフレ退治に動くという見立てでしょう。しかし、インフレが本当に続くのか?イランとの綱渡り状態にある合意が守られれば原油価格が下がりインフレが収まる可能性があります。そうなれば、ケビンも利上げなんかしなくて済みますね。そうなれば良いと考えている人も多いでしょう。Cassidy もそう願っているように思えます。でもどうなんでしょう。新型コロナが収束したらインフレも収まると推測されていましたが、そんなことは起こりませんでした。いや、ウクライナ戦争の影響があるからインフレが収まらんのだと指摘する人もいるでしょう。ただ、私が思うに、結局のところ、インフレを抑え込むには FF レートを上げるしかないのです。フリードマンが言ったのは、市中に出回る通貨量(マネーサプライ)の伸び率が、経済の成長率を上回ることがインフレの根本的な原因であるということです。これっていつの世でも真実だと思います。

スタンフォード大学の学部生時代にフリードマンの講義を受けたことのあるウォーシュは、インフレ率が下がらなければ、利上することをためらわないと思います。そして、インフレ率は自然と下がるような気配もありません。マーケットが利上を織り込んだようですが、本当にマーケットっていつも賢いと思います。

日本では高市首相が利上には反対のようです。政権におもねらず日銀の植田総裁は FRB 前議長ジェローム・パウエルのように自分の意志で中央銀行の責務を果たしてほしいと思います。植田総裁はマサチューセッツ工科大学( MIT )で経済学博士号を取得した国際的な学者でありながら、日銀審議委員や GPIF 運用委員長などの要職を歴任してきた、まさに理論と実務の両面を知り尽くした経験豊富な人物です。ドラッケンミラーとファンドを率いていたウォーシュの経歴と比べると見劣りがするという者もいるようですが、そんなことはありません。きっと毅然として行動してくれるでしょう。

では、以下に今回翻訳したコラムの要約を記します。その下に和訳全文を掲載します。要約を読んで興味を持たれた方は和訳全文にぜひ目を通してください。