Ukraine Dispatch ロシアへの制裁措置って効果あるの?残念ながら、制裁の成果はほぼ無い!

 本日翻訳して紹介するのは、The New Yorker のWeb版にのみの掲載のコラムで、タイトルは、”Why Sanctions Too Often Fail”(なぜ、制裁は失敗することが多いのか?)です。現地で3月7日(日本3月8日)に投稿されたコラムです。西側諸国がロシアに制裁措置を課したことに関する記事です。

 Robin Wrightによる寄稿です。彼女は、米国で著名な政治学者です。ロシア関係の記事も沢山書いています。スニペットは、”The West has mobilized vast economic weaponry against Russia. But sanctions do not always produce meaningful or timely change.”(西側諸国はロシアに対して広範な経済制裁措置を発動しました。しかし、制裁によって成果が出ることは稀です。出たとしても、時間がかかります。)となっています。

 さて、このコラムはロシアに対する制裁措置が効果を発揮するか否かということを論じています。結論としては、効果は非常に少ないとのことです。どういうことなのでしょうか?今回のロシアに対する制裁の目的は、プーチンに即時に侵攻を止めさせることです。たしかに、制裁によってロシア経済はかなり疲弊すると予測されます。既にループルは暴落しています。しかしながら、プーチンが即時撤退するようなことは起こり得ないのです。というのは、プーチンは多くの国民が飢えようが、ロシア経済が崩壊しようが、そんなことは全く気にもかけていないからです。彼にとっては、自分の地位が維持できて、自分の膨大な資産が守られれば、全く問題ないのです。

 過去の歴史を振り返って、北朝鮮やイラクなど独裁者が君臨していた国に対して制裁を課した際の顛末を見ると参考になるでしょう。独裁国家に制裁を課しても、目的が達せられることはほぼありません。北朝鮮は、制裁によって何百万人もが飢え死にしました。イラクは、元々は中東で最も裕福な国の1つでしたが、制裁によって国民は飢えるような生活を余儀なくされました。しかし、いずれの場合も独裁は永らく続きました。北朝鮮に至っては今でも続いています。独裁国家に制裁を課すと、その国の経済を疲弊させることは可能です。しかしながら、制裁の目的である独裁政権を転覆させるということは不可能なのです。可能であるとしても長く時間がかかってしまうのです。なぜなら、プーチンと同じですが、独裁者は多くの国民が飢えても全く気にしないからです。

 では、制裁の効き目が無いのならどうすれば良いのでしょうか?バイデン大統領は軍事力を行使するつもりは全く無いようです。これは、正しい選択だと思います。21世紀に、どんな理由であれ軍事力を行使することは許されません。そんなことをすれば、政権がもたないでしょう。他の国も軍事力を行使することは無いでしょう。ということで、現在は、プーチンに侵攻を止めさせるには手のない状況のようです。

 ここからは、私の予測です。遅かれ早かれ、ロシアはウクライナ全土を掌握するでしょう。それまでは、侵攻は止まらない気がします。今思うに、プーチンが侵攻をする前に、手を打つべきだったのかもしれません。次のプーチンを生み出さないためには、侵攻の準備をしている国、侵攻を検討している国があれば、その時点で制裁を課さなければなりません(たぶん、不可能ですが・・・)。

 では、以下に和訳全文を掲載します。詳細は和訳全文をご覧ください。