6 月に開催するアメリカワールドカップ決勝戦のチケットはなんと 1 万 1 千ドル? FIFA が導入したダイナミックプライシングは、果たして合理的なのか、それともファンの夢を金に換える搾取なのか?かつて手頃な価格と祝祭感に満ちていた大会はいかに変質したのかを、経済学の視点と個人の記憶から鋭く問い直す。
本日翻訳して紹介するのは、 John Cassidy によるコラムです。the New Yorker の web 版に 4 月 20 日に投稿されたものです。タイトルは、” Is Dynamic Pricing Ruining the World Cup? “(ダイナミックプライシングはワールドカップを台無しにしているのか?)となっています。Cassidy スタッフライターでのコラム The Financial Page を担当しています。今回翻訳したコラムはそうでもないですが、相場の大局観が分かったりして結構投資する際の参考になります。
アメリカワールドカップの話でした。チケット価格が過去の大会と比べると異常に高いようです。私なんかはサッカー好きですが、基本的には好きなチーム(名古屋グランパスとアーセナル)の試合しか見ません。例外と言ったら、ときどき FC 東京サポの友達と FC 絡みの試合を見るくらいです。ですから、ワールドカップのチケット代が高騰しようが、地上波での放映が無かろうが全く問題無いのです。
しかし、実は無問題でもないのです。今回のワールドカップのチケット販売では FIFA はダイナミックプライシングを導入しています。これが成功すると、今後ますますダイナミックプライシングが広まっていきます。そうすると、急成長している体験経済( experience economy )のチケット価格はますます上がっていくと推測されるからです(体験経済( experience economy )の相応しい訳語がわからないのですが、コト消費と言い換えらるかもしれません)。
実際、コト消費の料金を考えるとサッカーだけでなく、観劇料金も上がってます。また、一部の映画館も値上げしています。今月の大阪松竹座の御名残四月大歌舞伎の 1 等席は 2 万 5 千円からとなっていますが、高すぎるとの声が多いようです。空席も目立つようです。このくらいの金額で空席が目立つようですと、上方では歌舞伎の興行自体が成り立たないということなのかもしれません。実際、十五代目仁左衛門もそれが原因で関東に移ったわけですから。
私は、自分が推すものだったら、多少は目を瞑ってチケットを買いたいと思います。DAZN も継続します。まあ、あまり高くなりすぎると無理ですが。私からすると、むしろ今までの価格が安すぎたのだと思います。結局、このコラムが結論づけているのですが、FIFA がチケット価格を上げていますが、悪意があっていきなり無謀な行動をとったわけではないのです。世の中がそういう風に変わっていて、FIFA の行動は世相の反映でしかないのです。FIFA が変わったのではなく、世の中自体が変わったのです。
さて、話がそれましたが、以下に要約を掲載した後に和訳全文を掲載します。要約を読んで面白そうでしたら和訳全文もご覧ください。
要約
問題提起:ワールドカップは台無しにされているのか
- FIFAが北米大会で導入したダイナミックプライシングにより、チケット価格が過去大会の数倍に
- 決勝戦チケットは最大1万1,000ドルに達し、各国で怒りと不満が噴出
ダイナミックプライシング本来の役割
- 米プロスポーツでは、需要に応じて価格を調整しつつ、長期的なファン関係を重視
- 転売業者に渡っていた「消費者余剰」をチーム側が回収する合理的な仕組み
- 価格上昇を抑え、常連ファンを遠ざけない配慮が前提だった
FIFAの問題点
- 収益最大化を優先し、リピーターファンや祝祭性への配慮が欠如
- 価格の不透明さ、座席指定不可、救済措置なしという設計が不信感を拡大
- 欧州では政治家や消費者団体が正式に抗議
失われた「祭り」としてのワールドカップ
- かつては安価なチケット、ファンフェス、無料輸送などが当たり前だった
- 著者自身の1986年大会の体験と対比し、現在の「作り込まれた体験経済」を批判
- ワールドカップは世界を変えないが、「時代の価値観」を映していると締めくくられる
以上、要約でした。
以下に和訳全文を掲載します。
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