AI バブルの裏側の“怪しいマーケット”─AI 企業の公開前株式へのアクセスを得たい個人投資家を狙い撃ち!

AI 企業の評価額急騰の裏で、未公開株を巡る怪しげなセカンダリ市場が拡大。複雑で不透明な投資スキームに個人投資家は翻弄される。シリコンバレーの利益独占と“カジノ化経済”の実態を記したコラムを紹介する。

本日翻訳して紹介するのは、Kyle Chayka によるコラムです。the New Yorker の web 版に 5 月 20 日に掲載されたものです。タイトルは、” A Booming Shadow Market of Sketchy A.I. Investments (怪しげな AI 投資のシャドウマーケットの急拡大)となっていました。Chayka はスタッフライターです。インターネット等のテクノロジーをカバーしています。スニペットは、” As OpenAI’s and Anthropic’s valuations soar, Silicon Valley outsiders are rushing to secure a small slice however they can.”(オープン AI とアンソロピックの企業価値が急騰するにつれ、シリコンバレーの外部の人々は、あらゆる手段を使ってわずかな分け前を確保しようと躍起になっている)となっています。

さて、日本ではアンソロピックやオープン AI 等の公開前株に投資しないかとブローカーから勧誘されることはありません(私と違って太い資産を持つ投資家には勧誘があるのかもしれませんが)。しかし、アメリカでは免許を持ったブローカーディーラーがいて(個人であったり、企業であったりする)、実際に勧誘してくるようです。これがなかなか怪しい場合が多いようです。儲かる?怪しい?実際のところ、どうなんでしょうか?

まあ、結論から言うと、間違いなく怪しいと思います。考えたらわかることですが、そもそもアンスロピックやオープン AI の公開前の株を持っている人がそんなにません。創業初期の従業員とかと推測します。いたとしても、まだまだ価値が上がりそうな状況でセカンダリマーケットに出す必要もないわけです。がちでホールドしてるはずです。

また、仮にそうした株にアクセスできたとしても、必ずしも儲かるわけでもありません。高い手数料(法外?)をボラれた上に、既に評価が高すぎるので伸びしろは多くありません。ここは冷静になるべきです。ここで、相場過熱時に冷静になるべく、格言を紹介したい。人の行く裏に道あり花の山。天井三日、底百日。日経平均は上がっているのに、自分の株は上がっていないという方も少なくないでしょう。日経平均の上昇が一部の銘柄の急騰の結果ですので、しょうがないことです。大事なのは、乗り遅れた不安に支配されないことです。

さて、話がそれましたが、翻訳したコラムの要約を記した後、和訳全文を掲載します。要約を読まれて詳しく読みたいと感じた方は和訳全文をご覧ください。

要約

  • ■ AIブームと影の投資市場
    • OpenAIやAnthropicなどの評価額が急騰
    • 未上場株を巡る「セカンダリ市場」が急速に拡大
    • 外部の投資家がわずかな持ち分を得ようと殺到
  • ■ 不透明で怪しい取引の実態
    • SNSでの「儲け話」が炎上・疑惑を招く
    • 無許可販売や詐欺的行為への警告も出される
    • 複数の仲介者が介在することで取引構造が複雑化
    • 投資家自身が権利内容を把握できないケースも多い
  • ■ SPV(特別目的会社)の多層構造
    • 第1層:企業株主から直接購入(比較的健全)
    • 第2層・第3層:SPVを介してさらに投資
    • 下層に行くほど権利が希薄化し不透明性増大
    • 実質的には「何に投資しているか分からない」状態
  • ■ 高額手数料と短期志向
    • 手数料は15%以上と非常に高水準
    • 長期投資ではなく、仲介で利益を取る構造
    • 投資の実体ではなく“アクセス権”が商品化
  • ■ なぜ人々は飛びつくのか
    • AI企業の急成長・評価額高騰への期待
    • 大手VCや機関投資家だけが好機を独占
    • 個人投資家はIPO前に参入できない焦燥感
    • 少額から参加できる第3層SPVが誘惑となる
  • ■ 仮想通貨との類似性
    • 第一層投資=ビットコイン
    • 第三層投資=価値不明な「草コイン」
    • 投機性が高く、実態価値と乖離
  • ■ 「カジノ経済」という背景
    • ミーム株・暗号資産・賭け市場と同様の構造
    • 経済全体が投機化しているという指摘
    • リスクを取ること自体が合理的と見なされ始める
  • ■ 個人投資家の構造的不利
    • 高額な最低投資額(本来は数千万ドル)
    • 情報格差とアクセス制限
    • IPO時にはすでに割高で参入余地が乏しい
  • ■ 結論:誰が得をしているのか
    • シリコンバレーと一部投資家が巨額の利益
    • 外部の個人投資家は「後乗り」しかできない
    • AIバブルの恩恵は広く共有されていない
    • 投資熱狂の裏で格差がさらに拡大している

以上、要約でした。以下に和訳全文を掲載します。