スペース X の IPO を機に加速する AI 投資ブーム。著名エコノミストのリアクアット・アハメドの新著は、AI 投資ブームと19世紀末に崩壊した鉄道バブルには驚くほど類似性があると指摘。イーロン・マスクら現代の巨頭たちも逃れられぬ資本主義が繰り返す好況と不況のサイクルと、歴史から学ぶべき教訓を鋭く探る。
本日翻訳して紹介するのは、John Cassidy によるコラムです。the New Yorker の web 版に 6 月 15 日に掲載されたものです。タイトルは、”Lessons from the Original Tech Bubble”( IT バブルから学ぶ教訓)となっていました。Cassdy はスタッフライターです。エコノミクスをカバーしています。スニペットは、” As the SpaceX I.P.O. kicks off what is expected to be a wave of A.I. offerings, a new book turns to another speculative era—the railroad boom that culminated in the Great Panic of 1873.”(スペース X の新規株式公開(IPO)を皮切りに、AI関連企業のIPOラッシュが予想される中、ある新刊書は、別の投機的な時代、すなわち1873年の大恐慌で頂点に達した鉄道ブームに焦点を当てている。)となっていました。
さて、AI ブームはどこまで続くのか。このコラムを翻訳して私が印象的に思ったのは、意外とまだまだ続きそうであるということです。まず、利害関係の無い傍観者がもうすぐ弾けると警告を鳴らすのがバブルの常ですが、過去のバブルでは彼らの予測よりは崩壊が起きたのは先だったのです。また、現在のアメリカでは AI 関連投資が GDP の 2% を占めており明らかに行き過ぎだと指摘する者がいますが、そんなことはありません。19 世紀末に弾けた鉄道バブルではその倍以上の 5% だったのです。
さて、この下に要約( 700 文字程度)を記します。その下に和訳全文を掲載します。要約で興味を持たれた方は、ぜひ和訳全文もお読みください。
要約
現代のAI投資ブームとFOMOの過熱
- SpaceXの驚愕のIPO:ロケット・衛星会社であるSpaceXが1兆7,800億ドルという巨額の評価額で新規株式公開(IPO)を敢行。
- 期待の原動力:評価額の大半は「宇宙空間にAIデータセンターを構築する」という未テストの野心的な計画によるもの。
- 市場の連鎖反応:これを皮切りにAnthropicやOpenAIのIPOラッシュが予想され、NvidiaやArmなどのAI関連株も急騰。投資家は乗り遅れまいとする「FOMO(取り残される恐怖)」に駆られている。
「初代テックバブル」としての19世紀鉄道ブーム
- 1873年大恐慌の教訓:エコノミストのリblockedアハメドの新著『1873』は、2000年のネットバブルや1929年ではなく、19世紀の「鉄道」という革新技術が引き起こしたバブルとの類似性を指摘。
- 当時の熱狂:南北戦争後の米国では、大陸横断鉄道の建設(ノーザン・パシフィック鉄道など)を巡り、無限の富を生むハイテク産業として投機が過熱。
- 現代との共通点:当時のジェイ・クック(銀行家)の役割は、現在のイーロン・マスクやジェフ・ベゾスのような、大衆を魅了する大富豪の起業家精神や野心と重なる。
バブルの崩壊とその凄惨な余波
- 引き金と連鎖:普仏戦争の終結による欧州資本の引き揚げなどを機に投機が限界を迎え、1873年9月にジェイ・クックの会社が倒産。
- 経済の麻痺:ニューヨーク証券取引所が史上初めて10日間にわたり閉鎖され、銀行や鉄道会社が次々と連鎖倒産。
- 社会への打撃:当初は富裕層の損失に留まっていたが、すぐに工業生産の落ち込み、失業率の急上昇、農産物価格の暴落へと波及し、社会全体に根深い悲観主義が蔓延。
結論:資本主義の本質と歴史の教訓
- 好況と不況を繰り返すのは、人間の創造性、希望、欲望、そして恐怖が織りなす資本主義の不変の特質。現代のAIブームも、過去の鉄道バブルと同様の軌跡をたどるリスクを孕んでいる。
以上、要約でした。以下に和訳全文を掲載します。