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現在では、強力な技術が開発されており、病気の兆候を示さない健康な人の変異細胞でも検出可能である。こうした検出によって、人間の身体の状態はモザイクのようであるという現実が改めて認識される。一方で、こうした情報が入手可能になったことで、厄介な問題も生じる。例えば、変異が見つかった場合、がんになる可能性を示唆しているわけだが、免疫系が変異細胞を検出して破壊できるため、必ずしも腫瘍が発生するとは限らない。決して発生しないかもしれない腫瘍の発生を防ぐために、治療を開始すべきだろうか?また、明確な治療法がない変異が最新技術によって発見された場合、そもそも検査を行うべきだったのだろうかという議論が巻き起こる。自分がモザイクであることを知らない方が良いのだろうか?
ヒトゲノムの解読が完了してから、すでに四半世紀近くが経った。この画期的な出来事は確かに大きな意義を持つものだったが、その結果、多くの者が遺伝学に対して単純で決定論的な見方をするようになってしまった。これがカムシの主張である。つまり、自分の運命は生物学的な両親から受け継いだものによって決まるという見方である。「 DNA と遺伝性疾患の本質に対する概念を根本的に変える必要がある」と彼女は記している。それは遺伝システムの根本的に動的で適応的な性質を反映したものでなければならない。また、突然変異は、私たちの生存に不可欠なものであるにもかかわらず、危険なものだと誤解されがちである。さらに、体細胞突然変異は生殖細胞で起こらない限り遺伝しないわけだが、突然変異は私たちの体内の小さな変化を種の進化という大きな物語に結びつける要因でもある。いずれの場合も、突然変異は生命が解決策を見出すための道筋を提供するのである。♦
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