人類終了の始まり!?本物のヒューマノイドロボットが遂に家庭へ。専門家が本気で恐れる最悪のシナリオとは?

Annals of Technology

Are Humanoid Robots Ready to Be Deployed?
ヒューマノイドロボットは実戦配備の準備が整っているのか?

Neo and a dozen other robots with human forms are scheduled to hit the market. Experts are nervous.
Neoをはじめとする十数体のヒューマノイドロボットが市場に投入される予定だが、多くの専門家は不安を募らせている

By Stephen Witt  June 29, 2026

1.

 先日、私はシリコンバレーにある 1X テクノロジーズ( 1X Technologies:以下 1X )の本社を訪ねた。警備は厳重で、携帯電話のカメラにステッカーを貼り、秘密保持契約書への署名を免れるよう説得したりした後、ようやく巨大な空間に案内された。同社の家庭用ロボットである Neo と対面した。

 Neo は身長 168 センチ、目の代わりに 2 つの黒いカメラがある。顔に特徴は一切ない。このヒューマノイドロボットのデザインは人間の形に着想を得たものである。体型は平均的なアメリカ人男性と平均的なアメリカ人女性の体型の中間である。しかし、Neo には皮膚がない。代わりに、透明な外骨格の上にベージュのナイロン製タートルネックのボディスーツ、手袋、パッド入りの靴を身に着けている。その下には、100 個以上のモーターとコード状の人工腱で構成された骨格があり、それが四肢を制御している。Neo の心地よくミニマルな美学が、周囲に溶け込むことを可能にしている。もしカフェで Neo がエスプレッソを出したとしても、私はスマホから目を離さないだろう。

 このロボットの重さはわずか 27 キロほどで、私はお姫様抱っこで持ち上げることができた。胸部のスピーカーを通して、いくつかの異なる声でコミュニケーションをとる。デフォルトの声は、落ち着いた、しかし威厳のある男性の声で、複数の声優の音声を AI がミックスしたものである。Neo は話したり、聞いたり、命令に応答したりできる。頭蓋骨の中には、パン 1 切れほどの大きさの四角いマザーボードがある。そこには歯のように見える白いコンデンサがびっしりと並んでいる。これが Neo の脳である。AI を使って、あなたの言葉を物理的な動作に変換しようとする。Neo にテーブルからカップを取ってと頼むと、カップを取ろうとする。Neo に牛乳を冷蔵庫に入れてと頼むと、牛乳を冷蔵庫に入れようとする。しかし、Neo はこれらのタスクを常に成功させるわけではない。何ができて何ができないのかは、誰も正確にはわからない。

 このロボットは、1X の CEO であるベルント・ボルニッヒ( Bernt Børnich )の作品である。ノルウェー出身で 42 歳のボルニッヒは、幼い頃からロボットオタクだった。彼の会社の名前は以前は Halodi Robotics だった。オスロ南部に本社を置き、車輪付き警備ロボットを販売していた。しかし 2022 年にボルニッヒはシリコンバレーに拠点を移した。その際に社名を変更した。同時に彼は髪を伸ばし、デザイナーズ・ストリートウェアを着るようになった。Neo はその後まもなく発表された。

 ボルニッヒは人間の容姿の機能性の高さを信じている。「人間は信じられないほど上手く設計されている」と彼は言う。「これが私たちが進化して勝ち残った理由の 1 つだと私は主張したい」。ヒューマノイドが活動する環境は、健常な人間と基本的には変わらないはずである。ドアノブを開けるには手が必要である。階段を上るには足が必要である。現在、多くのロボット研究者がヒューマノイドに取り組んでいるが、ボルニッヒはバイオミミクリー( biomimicry:生体模倣技術)を他の研究者よりも重視している。Neo は他のヒューマノイドがモーターを使用する場所に腱を使用している。Neo のマザーボードは頭部にあるが、ほとんどのヒューマノイドは胸部にそれが格納されている。ボルニッヒは、ヒューマノイドには「ほぼ何でもできる」可能性があると主張する。

 他のロボット研究者に Neo(またはボルニッヒ)の名前を出すと、少し微妙な空気になる。ボルニッヒの技術的基盤はしっかりしているが、多くの研究者は彼が先走りしすぎていると感じている。言語や画像を生成する AI に比べ、ロボットを動かすフィジカル AI はまだ開発途上である。「ロボット版の ChatGPT はまだ存在しない」と、エヌビディア( Nvidia )でロボット工学部門を統括するディーパ・タラ( Deepu Talla )は語る。

 「家は後回しになると思う」と、Google DeepMind のロボット部門責任者のカロリーナ・パラダ( Carolina Parada )は語る。「興味がないとか、能力が足りないとかいうことではない」。むしろ、安全性の問題だと彼女は説明する。産業用ヒューマノイドロボットメーカーであるアプトロニック( Apptronik )の CEO ジェフ・カルデナス( Jeff Cardenas )は、「小さなペットや子供の周りで安心して使えるようにするためには、まだやるべきことがある」と語る。

 ボルニッヒは、Neo を小さな子供のそばで使用すべきではないという点に同意する。しかし、彼は消費者が「ロボットの粗雑さ」、つまり不器用に実行される作業にどれだけ耐えられるかを試したいと考えている。さて、昨年 10 月に彼がウォール・ストリート・ジャーナル( Wall Street Journal )誌向けに行ったデモンストレーションでは、Neo が水のボトルを取り出すのに 1 分以上かかった。そんな Neo の定価は 2 万ドルである。しかし、すでに 1 万人以上の顧客が予約金を支払っている。

 大方の予想通りであるが、顧客のほとんどはベイエリア、ロサンゼルス、ニューヨーク市の裕福なアーリーアダプターである。Open AI の元社員のウィル・デピュー( Will DePue )は、サンフランシスコでテクノロジー好きのルームメイトと暮らしている。「うちの家はヒューマノイドロボットの注文を 3 件入れている」と彼は語る。「新しい iPhone を買うみたいな感覚かな」。今年後半には、オークランド近郊にある 1X の工場の作業員が、特大の AirPods ケースのような容器に Neo を詰め、トラックの荷台に積み込み、デピューの自宅に届ける予定である。「 Neo は完璧に洗練された製品ではないかもしれないが、少なくともこれから登場するものの初期バージョンのようなものである」とデピューは語る。